1作品目
「もうじきたべられるぼく」

作:はせがわゆうじ

「いただきます」
命に感謝するべく教えられて来てはいるものの。今の世の中は大量生産大量廃棄。
根本から是正するにはこの絵本の様な言葉少ない訴えが一番染み込む気がします。

初めてみた時、嗚咽で泣いてしまい、単純に命の尊さを直球で感じたわけです。
でも、娘は涙一つみせず淡々とみています。ゾッとするほど。
これではダメだと感じています。

もうじきたべられるぼく＝牛の子　は運命を受け入れ、最期に大好きなお母さんに会いに行きます。ラストは衝撃。
いただける命を大切に思えない心が一番恐ろしい。
オカルト的な恐怖は無くかわいい柔らかいタッチの挿絵に余計ギャップを感じる。
ドナドナよりも現代風。一度読んでみてはいかがでしょうか？

2作品目
「おぞましい二人」

作：エドワードゴーリー
訳：柴田元幸

エドワードゴーリーといえば世界一残酷な大人向け絵本で有名ですね
ギャシュリークラムのちびっこたちも不気味極まるものですが
彼の作品の中でとくに問題視されたのはこちらの絵本

実話が元ネタらしいのですがその恐ろしさといったら…
後味悪すぎて何のために書いたのかと問いが残っては消えての繰り返し。
ネットの検索で知ったこの実話について少しお話しておきましょう。

イギリスのムーアズ殺人事件。10歳から17歳の子供5人を誘拐し残虐に殺害した最恐カップルのこと。
そんな二人が題材になった問題作。読んだ人は必ず深いため息をつくことでしょう。
ゴーリーの選んだ言葉のひとつひとつが狂気の沙汰

「ハロルドは5歳で小動物をたたき殺し　12歳で一生続く風邪をひく」
倫理観から逸脱しすぎ＆おぞましい限り
絵本ナビで全否定なコメントが９９％（筆者の感覚）
勇気がある方は手に取られてみてはいかが？

3作品目
「大きな木」

作:シエル　シルヴァスタイン
訳:ほんだきんいちろう

この本を知っている方はなにがおどろおどろしいのかと率直に感じるかもしれません。
どんな時も温かい愛に満ち溢れた木の深い情に感動する…

何度も読むうちに筆者は困った時にだけ頼りにしてくる"少年"が恐ろしく思えてきてなりません。
だって、、木がどんなに自分の為に身を滅ぼそうとしていても無関心。
自分さえ良ければいい様に見えるから。こんな人間ばかりが居たらと考えると末恐ろしいのです。
与えるだけの愛が底知れぬ甘えを生んでいるような、異様な関係性に怖さがあります。

読者の方の見解も是非聞いてみたい物語です。

4作品目
「いるのいないの」

作：京極夏彦
絵：町田尚子

かやぶき屋根の木でてきたとても古い家。
おばあさんとふたりでそこに暮らすことになった男の子。
その家は大人がはしごに上っても届かない程天井が高い。

「うえのほうは　くらいねえ」
下の方が明るいなら、いいかと思いながらも気になる。
かたまりになっている暗がりを何度も見あげる。
そしてついに男の子は梁の上の暗がりから自分を見下ろすそれを見つけた…
見えたら怖いとわかっているのに目を凝らし探してしまう。

この絵本の暗がりからはどうしても逃げられない
無表情のおばあさん。何匹もの猫がうろつく部屋。
光のとどかない廊下。
「なにかいるんじゃないか？」広がる黒闇に目を凝らしながら読んでいく。
暗闇がとても怖い。小さなころに感じた恐怖を思い出させる一冊。